会長挨拶
男女平等を掲げた日本国憲法ができて75年以上が過ぎ、職場での平等を目指す男女雇用機会均等法が成立して35年余がたちました。果たして女性たちは自由に生き生きと能力を発揮できているでしょうか。高度経済成長期に急増した専業主婦家庭は少数派となり、結婚・出産後も働き続ける女性が主流になっています。にもかかわらず夫が外で働き、妻が家庭で家事・育児を担うという性別役割分担意識は根強く、日本の女性活躍は先進国の中で大きく遅れをとっています。少子高齢化が進む社会で活力を維持し、豊かで幸せな生活を実現するには女性の力が欠かせません。
協会では、国からの委託事業と協会独自の活動を両輪にさまざまな課題に向き合っています。まずファミリーサポートネットワーク事業として、地域の子育てを応援するファミリー・サポート・センターの活動を支援しています。活動の調整役であるアドバイザーや自治体関係者からの相談対応と情報提供に加え、活動のための講習会の開催、手引き書の発行や活動実態の調査も行います。
企業や団体、女性労働者に向けた情報提供も大きな柱です。働く女性が健康な毎日を送り、安心して妊娠・出産を迎えられるよう、厚生労働省からの受託事業として、「働く女性の心とからだの応援サイト」の運営やメール相談に取り組んでいます。
近年は、従業員の健康維持が事業の継続・発展のために欠かせないとの「健康経営」の考え方が広がっています。協会の自主事業として幅広い年代の女性が健康に働き続けられるよう、女性特有の健康課題について学んでいただくセミナーや男性管理職向けの研修会などにも力を入れています。もちろん女性の就業支援やキャリア支援も重要な活動の一つです。女性活躍を推進するため引き続きセミナーや研修会の充実に努めてまいります。
新型コロナウイルス感染症が世界に広がり、ロシアのウクライナ侵攻が勃発するなど、社会・経済も私たちの生活もこれまでに経験したことのない困難に直面しています。こんな時だからこそ、新しい社会の実現に向けて思い切った一歩を踏み出さなければなりません。改革の大きな役割を担うのは女性の力です。私ども職員一同は、そんな女性たちをサポートし、改革に取り組む企業や団体をバックアップするために全力を尽くします。当協会の活動にご理解、関心をお持ちいただき、ご支援を賜りますようお願いいたします。
令和5年4月1日
一般財団法人女性労働協会会長
岩田 三代