チャイルドケアステーション

チャイルドケアステーション(CCS)インタビュー

 チャイルド・ケア・ステーション(CCS)は、子育て経験のあるCA、更なる活躍が期待できるシニアCA、様々なスキルや資格を持つCAが保育者として参加し保育を必要とするCAとマッチングを行う育児サポートシステムです。
 現在、事業化に向けて動き出しておりますが、安心・安全に活動を進める上で、必ず保育者に講習を受講いただいております。フライトなどの不規則な勤務のため、なかなか講習時間が確保できないのですが、オンラインであれば、皆が講習を受講できるのではと当協会が提供している「保育サポート4(テキスト)」を使用して、「保育サービス講習会オンラインコース」を受講する事となりました。
 今回、チャイルド・ケア・ステーションのご担当者様から、立ち上げまでの経緯、また、「保育サービス講習会オンラインコース」を受講いただいた感想等、インタビューをさせていただきました。

PROFILE

 

ブレイケリーさま

鎌田さま

チャイルドケアステーション実施にあたって

チャイルドケアステーションを立ち上げたきっかけについて教えてください。

鎌田 様

 きっかけは、ある日のフライトでママさんCAから、「今回のフライトは幼い姉妹2人だけで、お留守番をさせている」という話を聞いたことです。フライト中、彼女はどんなに心配か、気持ちを考えるだけで胸が痛くなりました。

 フライトから戻り、部内の相談員のブレイケリーさんと中村さん、後輩CAの井上さんに声をかけ、メンバー4人で、社員同士が子どもを預け合えるシステム、「チャイルドケアステーション」の設立を目指すことにしました。偶然にも社内のビジネスコンテストの応募時期だった為、そこに企画案を出してみよう!と挑戦することになったのです。

チャイルドケアステーションの理念は「子どもを一人にさせない」、「子どもらしく過ごせる環境を作る」、「子どもに大人の役割をさせない」ことです。
子育ての大変な時期を仲間同士で支え合うことで、働く親が安心して仕事に行くことができ、長く仕事を続けられる事が私たちの願いです。
ビジネスコンテストに通過できる自信などなかったところからのチャレンジでしたが、最終審査を通過し、「チャイルドケアステーション」の事業化に向けて取り組むことになりました。 このプロジェクトが子育てを担う次の世代のCAたちにとって心強い存在となり、ひいてはANAの企業価値を向上する事ができればと、現在事業化に向けて奮闘しています。

女性労働協会講習プログラム「保育サービス講習会オンラインコース」との出会いについて教えてください。

ブレイケリー 様

 お子様を預かる上で、一番大切な事は、安心・安全に活動できることで、そのためには、まず保育の基礎知識を学ぶことは必須だと思いました。
とはいうものの、私たちはシフト勤務の為、3,4日休みをとって講習を受講することはかなり難しいのですが、オンラインであれば受講が可能かと思いました。
例えば、長距離のフライトをした時に、現地で一日時間があることがあります。オンラインであればその空いている時間に、何時間かまとめて受講することができます。私たちの希望に叶うようなところを探した結果、女性労働協会の「保育サービス講習会オンラインコース」に出会う事ができました。

女性労働協会

 最初からお子さんを預かっていただく方に、講習を受けていただき、基礎知識を学んだ上で、スタートする事を必須にしていたのですか。

ブレイケリー 様

 何も実績なくゼロから事業化に向けて始動する中で、「安心・安全」はちゃんと担保しないと自分たちも自信を持って進められないですし、オンラインでの講習が私たちにとって、万全の準備としてスタートができたことがすごくよかったなと思っています。

 

ブレイケリー様・鎌田さま

  笑顔が素敵なお二人!(左) ブレイケリー 様・(右) 鎌田 様

実際に受講した感想などがあれば教えてください。

女性労働協会

 既に50名超える方に受講していただき、ありがとうございます。
実際にオンライン講習を受講いただいた方の感想や、他のメンバーの方が、これだけの講習を受講する必要があるということに対して、どのような反応がありましたか。

ブレイケリー 様

 客室乗務員は、非常に真面目で、言われたことは全部やるタイプの人が多いのです。
講習を受講することに対して、否定的な意見を言った方は誰一人いませんでした。ご家庭の事情などがおありだった方以外は皆さん全科目修了してくださいました。
 数種類ある講習内容の中でも、航空業界ということもあり、リスクマネジメントについての講習に対して、とても良い勉強になったと多数の意見を聞きました。
例えば、「想像や想定の範囲外の行動を取ってしまうのが子ども達の行動ということが十分理解できたので、リスクを先読みすることや、リスクを減らす環境整備の重要性を学んだ。」「現代でこれほどの情報が溢れ、防止策も様々なされているにも関わらず、昔と今で子どもの事故の種類や傾向が変わっておらず、事故が無くならないことにもどかしさを感じるとともに、学ぶこと、知識を得る事の重要性を感じた。」こういった感想を聞いています。
また、「育児に関して、昔の常識と今の常識の違いに気付いた。」といったような感想もいただきました。

 私もオンライン講習会で使用した、育児サポート4(テキスト)を改めて読んでみたのですが、本の中の文章がすごく愛情に満ちていて、こうじゃないとダメなんだよっていうような教科書的な書きぶりではなく、人間的に温かさを感じるように書いてあるというところが読む側にとってはとても嬉しく感じました。
もしも、数年後、私に孫が出来た時には、もう一回勉強してみたいと思いましたし、自分が子どもを育てている時に、育児本は読みましたが、このような体系的に書かれた本を読む余裕がなかったので、妊娠中の方にとっても、このテキストは学びが多いのではないかと思いました。

また短期間で受講者(シッター)を増やす仕組みや工夫などがあれば教えてください。

ブレイケリー 様

 私が昨年度までCAのライフとキャリアをサポートするチームに所属していました。
そのチームでは育休中や、復職前のCAのサポートしたり、お子さんがいるCAの相談を受けていました。社内の子育て中のCAが集まるSNSに、日々の育児に対するメッセージを発信したりするなど、日ごろから皆さんと信頼関係を築くように努めてきました。その中で、チャイルドケアステーションについても紹介し、「これから、トライアルを始めます!シッターさんをやってくださる方いませんか?預かってほしい保護者の方はいませんか?」などと発信し、チャイルドケアステーションの取り組みに関してSNSでアンケートを取ったところ、既にコミュニティの中で信頼関係ができていたからか、多くの方が回答をしてくれました。
社内SNSの発信を通じて、私たちの活動に共感を持って下さる方も多く、アプローチしやすい環境だったことも、受講者を増やせた要因かと思います。
 企業で私たちのような取り組みを進めるなら、人事など、働く人々の課題や悩みなどを理解している部門から始めるのが有効なのかなと思います。

チャイルドケアステーションの利用者についてお聞かせください。

女性労働協会

 チャイルドケアステーションはどのような方が利用されているのですか。
また、シッター様、保護者の感想などがあれば教えてください。

ブレイケリー 様

 現在、60人くらいはシッターがいて、保護者が100名いますが、なかなか保護者が利用せず、使う人も限られているんですね。でも、リピート率は100%に近いんです。どうしてだろうと色々聞いてみて真意を探りました。そうしたら、皆、何かあった時に使いたいという、セーフティネットとしての利用にとどまってしまっていることがわかりました。 利用するという初めの一歩が難しいのかもしれませんね。人に頼ることへの躊躇があるのかもしれません。どうしてもの時のためのシッターではなく、ちょっとしたことの助けや、だれかに頼れるところは頼っていいんだということを、伝えたいと思っています。

女性労働協会

 セーフティーネットがあるのは、安心感はすごく大事だと思いますし、いざという時の備えという意味で登録しているという方がいるのはいいことではあります。ですが、普段から使っているから、セーフティーネットになるのではないのでしょうか。

ブレイケリー 様

 その通りです。普段から使っていて、慣れているからこそ、セーフティネットになり得るのだと。普段から使っていなかったら必要な時にセーフティネットとしてスムーズに使えないかもしれません。

今後の課題や展望等についてお聞かせください。

ブレイケリー 様

 今後の展望は、この活動を事業化することと、国のベビーシッター利用支援事業の認定業者になることです。それには様々な要件があるので一つ一つクリアしていきたいと思っています。
直近の目標としては、CAだけに留まらず、整備、グランドスタッフ、IT 分野等、ANAグループのそれぞれの職場でもコミュニティを増やしていきたいということを考えています。
同じグループ社員というコミュニティを、ファミリーサポートのような地域の中での活動と同じように捉え、助け合いの輪を増やしていきたいなと考えているところです。足掛かりとしてCA同士のコミュニティ、次は、東京のグランドスタッフのコミュニティを作ろうと現在実現に向け準備しています。
さらに、在職中の社員だけでなく、退職したANAの社員たちにもアプローチをしていきたいと思っています。

鎌田 様

 子育てと仕事の両立に困っている人や悩んでいる人をゼロにしたい・・・という壮大な夢をもって、前進していきたいです。

女性労働協会

 本日は長い時間インタビューににお応えいただきまして、ありがとうございました。

 

ブレイケリー様・鎌田さま

 

 

2024年9月11日
企画・インタビュアー 一般財団法人 女性労働協会
撮影場所 ANAホールディングス(株)本 社

チャイルドケアステーション 公式サイトはこちらから