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T社労働契約存在確認等請求上告事件

事件の分類
雇止め
事件名
T社労働契約存在確認等請求上告事件
事件番号
最高裁 − 昭和45年(オ)第1175号
当事者
上告人 T株式会社
被上告人 個人6名
業種
製造業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1974年07月22日
判決決定区分
上告棄却(上告人敗訴)
事件の概要
上告人は電気機器等の製造販売を目的とする株式会社であり、Aは昭和35年1月、Bは昭和34年11月、Cは昭和33年12月、Dは昭和35年11月、Eは昭和34年1月、Fは同年3月、Gは同年4月、それぞれ会社に入社した。Aらは、いずれも入社当時会社と契約期間を2ヶ月と記載してある臨時従業員として労働契約書を取交してその従業員となり、その後、会社は、Aについて5回、Bは6回、Cは12回、Dは15回、Eは22回、Fは21回、Gは23回にわたって右契約を更新したが、各人に対しそれぞれの期日に、期間満了日をもって右契約更新の拒絶の意思表示をなし、満3日後の就労を拒否している。

一審では、Aらは会社に対し、いずれも労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び各金員を求めて、提訴し、5名の解雇無効が判示された。

控訴審では、A、B、D、E、F、G6名の解雇無効が判示され、原判決は一部変更された。
これに対し、会社側が前記6名に対し上告したのが本件である。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
判決要旨
電気機器等の製造販売を目的とする会社が、契約期間を2ヶ月と記載してある臨時従業員としての労働契約書を取りかわして入社した臨時工に対し、5回ないし23回にわたって労働契約の更新を重ねたのちにいわゆる傭止めの意思表示をした場合において、右臨時工が景気の変動による需給にあわせて雇用量の調整をはかる必要から雇用された基幹臨時工であって、その従事する仕事の種類、内容の点において本工と差異はなく、その採用に際しては会社側に長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動があり、会社は必ずしも契約期間満了の都度直ちに新契約締結の手続をとっていたわけでもなく、また、従来基幹臨時工が2ヶ月の期間満了によって傭止めされた事例は見当たらず、自ら希望して退職するもののほか、そのほとんどが長期間にわたって継続雇用されているなど判示の事情があるときは、右傭止めの効力の判断にあたっては解雇に関する法理を類推すべきである。
適用法規・条文
99:なし
収録文献(出典)
最高裁判所民事判例集28巻5号927頁、
富沢達ジュリスト577号101頁、
松田保彦・判例タイムズ351号138頁
その他特記事項
なし。