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J医大病院地位確認請求上告事件

事件の分類
配置転換
事件名
J医大病院地位確認請求上告事件
事件番号
最高裁 − 昭和57年(オ)第643号
当事者
上告人(第1審原告・第2審控訴人)個人1名
被上告人(第1審被告・第2審被控訴人)学校法人J医大学
業種
サービス業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1983年03月08日
判決決定区分
上告棄却(上告人敗訴)
事件の概要
上告人は昭和47年4月被上告人J医科大学附属病院看護婦に採用され、本院外科病棟勤務を経て同49年4月本院本館手術室に配転されたが、同50年3月から産前休暇をとり、同年5月出産し、同年6月まで産後休暇をとったうえ、同年12月18日まで育児のため休職し、復職したところ、被上告人が上告人に本院歯科外来診療室への配転命令を出したので、上告人は右配転命令を違法無効なものとして争い、被上告人に対し、上告人が本館手術室に勤務する権利を有することの確認を求めたのが本件である。

これに対し、被上告人は、看護婦の就労場所は雇用契約の内容とはなっておらず、右契約の履行過程としての被上告人の指揮命令によって指定されるべきであり、また、被上告人の所属病院では、看護婦が産前休暇に入ると、その所属を総婦長室付に配転し、産前休暇、出産及び産後休暇を終了して復職する際に、総婦長が業務上の必要等を考慮して新しい勤務場所を指定する慣行があり、上告人の場合も、右慣行に従って産前休暇に入ると同時に本院の本館手術室から総婦長室付に配置転換されたから、これにより、本館手術室に勤務する権利を失った、と主張した。

第一審は、上告・被上告人間には、上告人の専属科目や勤務場所についての特約は全くなかったから、上告人は採用の際に、各科や各勤務場所への配転につき業務上の必要等に基づくものである限りこれに応ずることを黙示に承諾していたものであり、また、被上告人主張の慣行は客観的に合理性があるから、これに従ってなされた上告人の総婦長室付への配転の措置も違法、不当ではない、として上告人の請求を棄却した。高裁判決も、地裁判決を相当として、上告人の控訴を棄却した。
これに対し、上告人が上告したのが本件である。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
判決要旨
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は、失当である。また、記録に照らしても、原審の訴訟手続に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
適用法規・条文
99:なし
収録文献(出典)
なし。
その他特記事項
地裁判決(No.83)、控訴審(No.84)参照。