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ラジオ放送会社地位保全仮処分申請控訴事件

事件の分類
配置転換
事件名
ラジオ放送会社地位保全仮処分申請控訴事件
事件番号
東京高裁 − 昭和56年(ネ)第48号
当事者
控訴人 ラジオ放送会社
被控訴人 個人1名
業種
サービス業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1983年05月25日
判決決定区分
原判決一部変更(控訴人敗訴)
事件の概要
アナウンサー入社試験を受験し、アナウンサー養成講座を経て採用された被控訴人(第1審原告)が、採用から18年後に、編成事業部へ配置換えする旨の命令(配転命令)をなされ、配転命令の効力停止とアナウンス業務に従事する地位の仮処分申請を行った。東京地裁は、アナウンサーとしての業務に従事する労働契約上の地位を仮に定める、と判示した。これに対し、控訴人(第1審被告)が控訴したのが本件である。
主文
原判決を次のように変更する。
被控訴人が控訴人に対し、自動スポット編集装置の運用に関する事務に従事する労働契約上の義務を負わない地位にあることを仮に定める。
被控訴人のその余の申請を却下する。
訴訟費用は第1、2審とも控訴人の負担とする。
判決要旨
被控訴人は、本件配転命令が無効であることを前提として、本件配転命令の効力を仮に停止し(申請の趣旨1)、かつ、被控訴人が会社の制作部に所属し、アナウンス業務に従事する地位を仮に定める(申請の趣旨2)仮処分を求めるのであるが、本件についての本案の訴訟上の請求は、被控訴人が本件配転命令により従事することを命ぜられた業務に従事すべき義務の存在しないことの確認となるべきものであると解するのが相当であるから、本件仮処分申請のうち、被控訴人が控訴人に対し、自動スポット編集装置の運用に関する事務に従事する労働契約上の義務を負わない地位にあることを仮に定める限度を超える部分については、それに対応する本案請求権を欠くこととなり、結局理由なきものとして却下を免れないというべきである。
適用法規・条文
99:なし
収録文献(出典)
労働関係民事裁判例集34巻3号441頁、判例タイムズ498号206頁、労働経済判例速報1163号16頁、判例時報1093号142頁、労働判例441号36頁、労働法律旬報1080号60頁
その他特記事項
地裁判決(No.86参照)。