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石川県建設会社上告事件

事件の分類
セクシュアル・ハラスメント
事件名
石川県建設会社上告事件
事件番号
最高裁 − 平成9年(オ)第294号
当事者
上告人 個人1名
被上告人 株式会社A建設
業種
建設業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1999年07月16日
判決決定区分
上告棄却(上告人敗訴)
事件の概要
1審被告会社は、土木建設工事請負、土木建設機械器具等の賃貸等を業とする会社で10名ほどの個人企業である。1審被告は、被告会社の代表取締役であり、妻とは別居中で、一人暮らしである。

1審原告は、被告会社に入社し、1審被告社長の自宅の家政婦的仕事に従事していた。

1審被告社長は、次第に原告の身体を触るようになり、口を近づけたり、抱きつこうとしたり、性的関係を求めたりしたが、1審原告は拒否していた。

その後、1審被告社長は1審原告に辞めてほしいと思い、昼食を自宅で食べず、金銭の支払いを原告にさせなくなり、1審原告も1審被告社長の命令に反抗したり、言い争いをするようになった。

また、1審被告会社はボーナス支給額を、従業員の勤務態度、成績などを勘案して決定していたが、1審原告の勤務時間、成績などから対象外とし、支給しなかったため、1審原告は要求し、執拗に抗議したため、1審被告社長は原告を解雇した。

これに対し、1審原告は、一連のセクシュアルハラスメント行為特に3月27日の強姦未遂、性的要求拒否による嫌がらせ、8月7日の暴行、解雇につき、不法行為を構成するもので慰謝料500万円等の支払いを被告及び被告会社(民法44条、715条、415条)に求めた。

金沢地裁輪島支部は、1審被告の行為は労働環境を悪化させるものでセクシュアルハラスメントとして違法と判示し、不法行為により、被告個人と会社に対し、慰謝料80万円の損害賠償を認めた。

これに対し、1審判原告は、当審において請求の拡張(1審被告らに対し各自金550万円の支払い)を求め、1審被告らは、1審敗訴部分の取消しを求め、控訴した。

名古屋高裁金沢支部は、原判決を一部変更し、1審被告ら(会社社長、会社)に対し、金138万円の支払を命じた(労働者側一部勝訴)。なお、1審、控訴審とも、会社による解雇の意思表示は解雇権の濫用にあたらない、として、労働者側の主張を斥けている。
これに対し、労働者側が上告したのが本件である。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告の負担とする。
判決要旨
適用法規・条文
99:なし
収録文献(出典)
なし。
その他特記事項
No.94に本件地裁判決が、No.95に高裁判決が出ている。