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製薬会社(単身赴任)事件(上告審)

事件の分類
配置転換
事件名
製薬会社(単身赴任)事件(上告審)
事件番号
最高裁 − 平成8年(オ)第1948号
当事者
上告人 個人五名
業種
製造業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1999年09月17日
判決決定区分
上告棄却(上告人敗訴)
事件の概要
上告人A夫は、製薬会社である被上告会社(以下「被上告会社」という。)に医薬情報担当として入社以来、一五年間東京営業所に所属してきた。上告人A夫は、昭和六〇年三月一六日、東京営業所から名古屋営業所への転勤を命ぜられた(以下、「本件転勤命令」という。)。当時、上告人の妻B子(上告人。以下「B子」という。)は、被上告会社の川崎工場企画部研究総務課に図書管理担当として勤務し、子供である上告人Tは小学三年生、上告人Kは四歳、上告人Rは生後七か月で、上告人A夫とともに居住していた。上告人A夫は、被上告会社における勤務の継続を考えているB子の意思に反して家族帯同赴任をすることはできないと考え、名古屋に単身赴任を余儀なくされた。しかし、三人の子供に父親としての監護養育をできるだけ果たし、また、これまで分担してきた日常家事についてB子の負担を軽減するため、毎週のように金曜日の夜に新幹線で川崎の自宅に戻り、月曜の早朝に名古屋に出勤する生活を送ることになり、家族が同居していた当時に享受していた家族生活上の安定が損なわれ、結局、B子の社会的不利益を避けるために、上告人が、被上告会社に対して、本件転勤命令の無効、違法を理由として、債務不履行あるいは不法行為による損害賠償を求め、東京地裁に提訴したが、敗訴し、さらに提訴も敗訴したため、最高裁に上告した。
主文
本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。
判決要旨
同じ会社に勤務する妻と一緒に共働きで3人の子供を保育していた製薬会社の医療情報担当者にたいする東京営業所から名古屋営業所への転勤命令について、同命令は業務上の必要に基づくものであり、上告人らの受けた不利益は会社通年上甘受すべき程度を著しく超えるものということはできないとして、本人及び妻子の損害賠償請求を否定した原判決が支持され、上告が棄却された。
適用法規・条文
07:労働基準法2章
収録文献(出典)
労働判例768号16頁労働経済判例速報1720号26頁
その他特記事項