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S市西郵便局非常勤職員雇止め控訴事件

事件の分類
雇止め
事件名
S市西郵便局非常勤職員雇止め控訴事件
事件番号
札幌高裁 − 平成12年(ネ)第359号
当事者
控訴人 個人1名
被控訴人 国
業種
公務
判決・決定
判決
判決決定年月日
2002年04月11日
判決決定区分
一部認容(原判決一部変更)・一部棄却(上告)
事件の概要
 控訴人(第1審原告)は、平成7年9月26日にS市西郵便局(西局)の非常勤職員に任用され、同年10月2日には予定雇用期間を平成8年3月30日まで、更に同年4月1日付けで予定雇用期間を同年9月28日までとする辞令を受けていた。

 同年7月に西局課長Aより控訴人に対し、「何時辞めるのか」との問いがあり、控訴人が「今は考えていない」旨回答したが、同年8月23日、課長Aは控訴人の辞職の日を同月28日とする旨通知した。同日課長Aは控訴人に対し辞職願に署名・押印を求めたが、控訴人がこれを拒否したため、西局長は同日付けで辞職承認処分を行った。控訴人は人事院に対し本件辞職承認処分につき審査請求をしたところ、西局長は本件辞職承認処分を取り消し、同年9月28日で予定雇用期間が満了したことをもって控訴人は当然退職となった旨通知した。控訴人は、職場から排除されたことについて再度人事院に審査請求を行ったが、却下されたため、本件雇止めは違法であるとして、主位的には予定雇用期間満了とされた日以降も非常勤職員としての地位にあることの確認と賃金の支払いを、予備的には長期雇用の期待を侵害されたり、退職を強要されたりしたこと等による精神的損害について330万円の国家賠償を請求した。

 第1審では、期間の定めのある任用はそれが繰り返されても期間の定めのない任用に転化することはなく、解雇に関する法理が類推適用される余地はないとして、主位的要求である地位確認請求を退けた。また、予定雇用期間を付して任用された非常勤職員は長期雇用を期待する法的権利を認めることはできないとし、控訴人について長期雇用を期待することが無理からぬとされるような「特別な事情」も認められないとして、予備的請求である国家賠償請求についても退けたため、控訴人が控訴に及んだものである。
主文
1 原判決中、予備的請求に係る部分を次のとおり変更する。

(1)被控訴人は控訴人に対し、金12万円及びこれに対する平成8年12月19日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(2)控訴人のその余の請求を棄却する。

2 控訴人のその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを10分し、その1を被控訴人の負担とし、その余は控訴人の負担とする。
判決要旨
1 原判決中、予備的請求に係る部分を次のとおり変更する。

(1)被控訴人は控訴人に対し、金12万円及びこれに対する平成8年12月19日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(2)控訴人のその余の請求を棄却する。

2 控訴人のその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを10分し、その1を被控訴人の負担とし、その余は控訴人の負担とする。
適用法規・条文
国家賠償法1条
収録文献(出典)
労働判例833号78頁
その他特記事項
本件は上告された。