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T社退職金等請求事件
- 事件の分類
- その他
- 事件名
- T社退職金等請求事件
- 事件番号
- 東京地裁 − 昭和60年(ワ)第12560号
- 当事者
- 原告 個人1名
被告 株式会社 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1986年09月26日
- 判決決定区分
- 一部認容・一部棄却
- 事件の概要
- 原告は、昭和50年3月に被告に入社し勤務していたが、昭和60年6月12日が出産予定日であったことから、被告に対し昭和59年12月末日をもって退職したい旨申し出たところ、被告は退職を2,3ヶ月延ばすように要請し、原告もその要請を受けて昭和60年3月末日まで勤務を継続することにした。原告はその後被告に対し、同年4月中は通常勤務をしたいこと、同年5月中は有給休暇を利用して、また同年6,7月は産前産後の休暇のため出社せず、同年7月末日をもって退職したい旨連絡した。そして原告はこの予定に従い同年5月2日まで勤務した後出社せず、同年7月25日をもって退職する旨通知するとともに、規定通り夏期賞与1ヶ月分15万円と退職金85万円の支払いも合わせて請求した。
これに対し被告は、原告は昭和60年4月30日に退職したものであり、同年6月3日原告に退職慰労金として12万7000円を支払っており、賞与については支給日に原告は退職しているから支給基準に該当しないから支払い義務がないと主張した。 - 主文
- 1 被告は原告に対し、金30万円及びこれに対する昭和60年11月2日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを3分し、その1を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。
4 この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。 - 判決要旨
- 原告は昭和60年5月2日まで出社し、その後は出社していないのであるが、翌日以後は有給休暇、産前産後の休暇を取得しており、被告もこれを了解しているものといえるのであって、原告が昭和60年1月から6月まで在籍し、かつ賞与支給日たる同年7月10日にも在籍し、その後同年7月25日をもって被告を退職したものと認められ、被告の賞与支給基準に該当するものといえる。したがって、被告は原告に対し、昭和60年7月10日限り賞与15万円を支払うべき義務がある。
原告は昭和50年3月5日入社し、同60年7月25日には原告の都合により退職しているのであって、また退職時被告との間にトラブルがあったとの事情は認められないから、「退職手当は総支給額の5%を支給する、勤続2年以上で円満なる自己都合の場合は功労金を支給する」旨規定する就業規則12条の受給資格があるものというべく、またその額については、原告の1ヶ月の給与15万円をもって相当額というべきである。したがって、被告は原告に対し、昭和60年7月25日に限り、功労金15万円の支払い義務があるというべきである。 - 適用法規・条文
- なし
- 収録文献(出典)
- 労働経済判例速報1284号17頁
- その他特記事項
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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