判例データベース
H県衛生研究所日々雇用職員雇用止事件
- 事件の分類
- 雇止め
- 事件名
- H県衛生研究所日々雇用職員雇用止事件
- 事件番号
- 神戸地裁 − 昭和59年(行ウ)第41号
- 当事者
- 原告 個人1名
被告 H県地方労働委員会 - 業種
- 公務
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1989年12月21日
- 判決決定区分
- 棄却(控訴)
- 事件の概要
- 原告は、昭和49年4月、H県衛生研究所(衛研)の日々雇用職員として採用された女性であり、同52年1月に図書室勤務に配置換えになった後、同53年1月13日に所長から同年3月末日をもって雇用止めする旨の通告を受けた。原告は、この雇止めは原告の組合活動を理由とするもので不当労働行為に当たるとして、被告に対しその救済の申し立てをしたところ、被告は昭和59年7月31日をもって棄却命令を発した。
そこで原告は、任用の更新が繰り返された日々雇用職員は職務に習熟し、正規職員と同様の業務をしている場合がほとんどであり、成績主義の原則を充足し、恣意的任用の可能性は少ないから、原告は更新が繰り返されたことにより、少なくとも日々雇用職員としては期間の定めがなくなったものであること、原告は組合結成以前からその準備をしており、所長は原告の活動を嫌悪していたことから、本件雇止めは組合活動を締め付けるために行ったものであるとして、本件命令の取消しを求めた。 - 主文
- 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 - 判決要旨
- 1 原告の法的地位について
原告は、任期を1日としこれが日々更新される職員として衛研に採用されたもので、期限付き任用の職員である。そして地方公共団体に労務を提供し、賃金を受ける関係にある者は、たとえ日々雇用職員であっても、地方公務員というべきであるから、衛研に勤務する原告は一般職の地方公務員であるというべきである。もっとも、一般職の地方公務員については、厳格な要件のもとに期限付き任用が認められているいわゆる臨時的任用の職員(地公法22条2項及び5項)のほかに、期限付き任用が許されるか問題があるが、その必要性があり、かつ、そのことが地方公務員の身分を保障することによって公務の能率的な運営等を図ろうとした地方公務員法の趣旨に反しない限り、許されると解するのが相当である。
本件の場合、衛研における補助的業務は、研究員数、研究内容等により仕事量の増減が予想されるほか、予算の裏付けを要するものであって、適切な人員配置を行うためには、補助的業務に従事する者を期限付き任用で採用する必要があると考えられ、また、その職務内容は補助的な業務であって、特に専門的知識、経験を要したり、習熟を要するといったものではないから、その任用に期限を付したからといって、衛研の研究の能率的な運営が阻害されるとは認め難い。そうすると、衛研において補助的業務について日々雇用職員を期限付きで任用することは、その必要性があり、かつそれが研究の能率的な運営を阻害するものとは認められないから、原告に対する任用を期限のないものと解することはできない。
2 原告の雇用止めについて
原告は簡単な面接だけで採用され、勤務時間についても原告の要望により弾力的扱いがなされるなど、期限の定めのない一般職の職員に比して採用手続き等について緩やかな取扱いがなされていること、公務員の任用行為は、いわゆる行政処分としての性質を有するものであって、その内容は法律、条例に規定されていて、当事者が自由に定め得るものではなく、当事者の合理的意思解釈によってその内容を決する余地がないことに鑑みると、期限付き任用を反復継続しても期限の定めのない任用に転化することはないというべきである。したがって、1日を任期とし、これが日々更新される日々雇用職員として任用された原告は、新たな更新がない限り、任用終了と同時に当然に公務員としての地位を失うものというべきであるから、衛研所長のした雇用止めの通告が、たとえ裁量権の濫用に当たるとしても、それが不法行為になるのは格別、原告が公務員の地位を失ったことに影響を及ぼさない。そうすると、原告の不当労働行為救済命令取消請求は、雇用止めの通告が不当労働行為に当たるかどうかについて判断するまでもなく理由がないことに帰するから、これを棄却した本件命令に違法はない。 - 適用法規・条文
- 地方公務員法17条、22条
- 収録文献(出典)
- 労働判例566号67頁
- その他特記事項
- 本件は控訴された。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
---|---|---|
神戸地裁 − 昭和59年(行ウ)第41号 | 棄却(控訴) | 1989年12月21日 |
大阪高裁 − 平成2年(行コ)第2号 | 棄却 | 1991年03月15日 |