判例データベース
大田労基署長療養補償給付等不支給処分取消請求事件
- 事件の分類
- 過労死・疾病
- 事件名
- 大田労基署長療養補償給付等不支給処分取消請求事件
- 事件番号
- 東京地裁 − 平成9年(行ウ)第81号
- 当事者
- 原告個人1名
被告大田労働基準監督署長 - 業種
- 公務
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 2000年09月27日
- 判決決定区分
- 棄却(控訴)
- 事件の概要
- 原告は、航空会社の客室乗務員(スチュワーデス、アシスタントパーサー)であるが、頸肩腕症候群ないし腰痛に罹患したことから、これらの疾病は客室乗務員としての業務に従事したために発症したものであるとして、被告に対し、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付の請求を行った。これに対し被告が昭和59年4月3日、本件疾病は業務上のもとは認められないとして不支給処分としたことから、原告はこれを不服として審査請求、更には再審査請求を行ったが、いずれも棄却されたため、被告の行った処分の取消しを求めて提訴した。
- 主文
- 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 - 判決要旨
- 客室乗務員の業務内容・性質が、腰部・頸肩腕部に負担や疲労を生じさせるものであること、原告の腰部、頸肩腕部の症状は長年にわたり原告が客室乗務員としての業務に従事した過程において発生したものであること、業務以外に明らかに原告の症状を発生させる原因となった要因は窺えないこと等からすると、原告の疾病は長年客室乗務員としての業務に従事したことにより蓄積された腰部、頸肩腕部の疲労が慢性化し、頸肩腕症候群ないし頸肩腕障害、腰痛症として発症するに至ったものとして、客室乗務員の業務がその有力な原因ではないかとも考えられる。一方、原告の従事した発症前1年間の業務は過重とはいえず、原告は休日、休暇等も十分に取得していることからすれば、原告に生じたような腰部、頸肩腕部の疲労は、通常は休日に休息することや運動すること等により回復することができるとも考えられるし、頸肩腕症候群の原因は不明であり、個体の肉体的・精神的要因に社会的環境要因が働いて発症することが多いこと、腰痛は日常生活においても頻繁に発生し、労働以外の影響も考えられることを併せ考えると、原告の疾病と原告が従事した客室乗務員としての業務との間に、経験則上、業務に内在する危険が現実化したといえるほどの関係、すなわち労災補償を認めるのを相当とするほどの関係があったとはいえない。
- 適用法規・条文
- なし
- 収録文献(出典)
- 平成13年版労働関係判例命令要旨集149頁
- その他特記事項
- 本件は控訴された。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
---|---|---|
東京地裁 − 平成9年(行ウ)第81号 | 棄却(控訴) | 2000年09月27日 |
東京高裁 − 平成12年(行コ)第279号 | 認容(原判決取消) | 2001年09月25日 |