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静岡食堂店主事件

事件の分類
セクシュアル・ハラスメント
事件名
静岡食堂店主事件
事件番号
静岡地裁
当事者
原告個人1名

被告個人1名
業種
サービス業
判決・決定
判決
判決決定年月日
2007年02月08日
判決決定区分
一部認容・一部棄却
事件の概要
 被告は食堂店主であり、原告は被告に雇用される女性パート店員である。

 被告は、(1)日常的に原告の臀部を触り、(2)原告に対し「舐めたい」とか「しゅぶれ」などと言い、(3)原告に対し、複数回、口をすぼめてキスをするような仕草をしたり、胸を触るような仕草をし、(4)必要もないのに、作業をしている原告の後の狭いスペースに無理矢理身体を入れて原告の臀部と被告の股間が押しつけられるような状態にし、(5)原告がトイレトイレに入った際、トイレのドアをガタガタと揺さぶったりした。また、平成18年4月、被告は、作業している原告の背後から尻を両手で持ち上げるようにして触った。
 原告は、同年5月2日本件食堂を退職したが、被告による上記各行為は原告の性的自由を侵害し、女性労働者である原告が不快を感じることにより就業を継続する上で看過できない程度の支障を生じさせるセクハラに該当するとして、被告に対し、不法行為に基づき慰謝料500万円及び弁護士費用50万円を請求した。
主文
判決要旨
 被告は、(1)エッチな冗談やひょうきんな言動は被告のキャラクターであり、原告も承知の筈であること、(2)働いている被告の妻や他の店員は、被告が原告に対しわいせつな行為をしたとは露ほども思っていないこと、(3)平成18年4月に原告の臀部に手が触れたのは、親しい仲での行為、茶目っ気から出たものであることなどと主張し、全く反省のない態度で終始している。
 上記各不法行為の態様、期間、頻度、これに対する原告の対応、原告がこれにより精神的苦痛を感じ、本件食堂を退職するに至ったこと、原告の従前の収入の状況、不法行為後の被告の態度・態様、その他本件に顕れた一切の事情を考慮すると、慰謝料は100万円、弁護士費用は10万円とするのが相当である。
適用法規・条文
民法709条
収録文献(出典)
その他特記事項