判例データベース
宮城ピアノ教師事件
- 事件の分類
- セクシュアル・ハラスメント
- 事件名
- 宮城ピアノ教師事件
- 事件番号
- 仙台地裁
- 当事者
- 原告個人1名
被告個人1名 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1999年07月29日
- 判決決定区分
- 一部認容・一部棄却
- 事件の概要
- 原告はピアニストを目指して、10歳の頃から被告にピアノの個人レッスンを受けていた女性である。原告が中学3年の時、被告はいきなり原告にキスをし、高校入学後には、被告は原告の胸に触るなど、その猥褻行為は徐々にエスカレートしていき、更に被告は、調律器具で原告を叩いたりするようになった。
原告は大学入学後、その在学する大学で講師をしていた被告から指導を受けることになったが、そこでのレッスン中にも被告は原告に対し猥褻行為をしたり、殴ったり、「出来が悪い」と罵ったりするなどの言動を続け、遂には原告と性交渉を持つに至った。その後原告は解離性障害、PTSDなどの障害に悩まされ、精神科での治療が必要になったことから、被告の長年にわたる猥褻行為等により著しい精神的苦痛を受けたとして、被告に対し慰謝料等1100万円を請求した。これに対し被告は、原告との関係は合意に基づくものと主張して争った。 - 主文
- 判決要旨
- 被告は、ピアノ教師と教え子との関係を通じて、常に原告に対し指導・指示する立場にあり、原告は常にこれに従わざるを得ない立場にあった。被告はこのような関係に乗じて継続的に性的行為を行ってきたのであり、原告の人格権や女性としての尊厳、性的自由決定権を侵害し続けてきた被告の行為の違法性は著しく強いから、被告は原告に対し不法行為に基づく損害賠償責任を負うものと解すべきである。原告が受けた精神的苦痛に対する慰謝料としては800万円、弁護士費用としては100万円が相当である。
- 適用法規・条文
- 民法709条
- 収録文献(出典)
- その他特記事項
- 本件は控訴されず、800万円で和解した。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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