判例データベース
T社パート雇止事件
- 事件の分類
- 雇止め
- 事件名
- T社パート雇止事件
- 事件番号
- 大阪地裁 − 昭和60年(ヨ)第995号
- 当事者
- その他申請人 個人1名
その他被申請人 株式会社 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 決定
- 判決決定年月日
- 1985年09月30日
- 判決決定区分
- 一部認容・一部棄却
- 事件の概要
- 被申請人は、国鉄の駅構内及び列車内で弁当等の販売、食堂、軽飲食店の経営等を目的とする株式会社であり、被申請人は昭和58年11月1日に、うどん店を新規開店するため、申請人らをパートタイマーとして雇用した。
被申請人は、申請人との間で、雇用期間を昭和59年1月末日まで、翌日から同年4月末日まで、翌日から同年7月末日まで、翌日から昭和60年1月末日までとする各臨時雇用員雇用契約書を順次締結した。被申請人は、申請人ら2名のパートを昭和60年1月末日限りで雇止めにした。なお、従来天王寺うどん店のパートでは、雇止めになったのは申請人らが初めてである。
申請人は、採用の際、被申請人から「すぐ辞められては困る。続けて来てくれ」といわれたことから、継続雇用の期待を持っており、本件雇止めは実質的に正当な理由のない解雇に当たるとして、従業員としても地位の保全と賃金の仮払いの仮処分の申請をした。 - 主文
- 判決要旨
- 申請人は恒常的に通常の業務に従事してきたものであり、その業務内容に臨時性は認められず、期間も3回更新され、その前後で就労形態に変化はなく、申請人は継続して1年3ヶ月勤務していること、そのほか雇用期間が1年を超えると有給休暇が与えられ、時間給も上げられたこと、退職しない限り雇止めの例は今までにないことを総合すると、パートの雇用関係はある程度の反覆継続が期待されており、かかる場合申請人を期間満了により雇止めをする場合には、その雇止めが権利の濫用又は信義則違反によって無効となるときは期間満了後においても従前の労働契約が更新されたと同様の法律関係が存続するものと解される。
被申請人は、本件雇止めの理由として、過員が生じたこと及び申請人の勤務態度不良を主張する。しかし、天王寺うどん店の合計定員は必ずしも明確なものではなかったこと、被申請人は申請人らを雇止めした後も早出組として昭和60年1月、3月に各1名を、遅出組として同年2月に1名をそれぞれ採用しており、同年1月の時点で過員であったといえるかどうかは疑問であり、又申請人は昭和59年12月に遅刻が多く(12回、もっとも数分程度がほとんど)、予告手当受領後欠勤し、職場の評判も特に良いとも認められないが、今まで1年3ヶ月の間期間を更新されて一応勤務してきているのであって、申請人の外に当初4名の退職見込者がいたことを考え合わせると、申請人に対する雇止めの必要性を認めることは困難である。
申請には予告手当を受け取り、その後欠勤し、2月1日出社し年末手当の追給を受け取り、健康保険の任意継続申請をなしているものの、他方2月12日に組合から被申請人に対し申請人の雇止めの問題を巡り団交申入れがあり、また申請人は離職票を受領していないことが認められ、申請人は雇止め後比較的短期間に組合を通じて雇止めに対し不服を述べているのであるから、予告手当を受領するなどの事実があるとしても、申請人が更新の意思を放棄したものとはいえない。 - 適用法規・条文
- なし
- 収録文献(出典)
- 労働判例461号86頁
- その他特記事項
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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