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循環器病センター看護師くも膜下出血死損害賠償請求控訴事件【過労死・疾病】

事件の分類
過労死・疾病
事件名
循環器病センター看護師くも膜下出血死損害賠償請求控訴事件【過労死・疾病】
事件番号
大阪高裁 − 平成16年(ネ)第3560号
当事者
原告 個人2名
被告 国
業種
公務
判決・決定
判決
判決決定年月日
2007年02月28日
判決決定区分
控訴棄却(上告)
事件の概要
K(昭和50年生)は、平成9年4月、被告に厚生技官として採用され、被告の設置する循環器病センター(センター)において看護師として勤務していた女性である。

 センターの労働時間は週40時間であり、深夜勤(午前0時30分から午前9時まで)、日勤(午前8時30分から午後9時まで)、準夜勤(午後4時30分から午前1時まで)、早出(午前7時から午後3時30分まで)、遅出(午前11時から午後7時30分まで)の5種類の勤務形態があり、これらのローテーションによる勤務シフトが組まれていて、Kは、勤務時間外に研究発表の準備等を行ったほか、新人教育も担当していた。

 Kは、平成13年2月13日午後11時30分頃、勤務を終えて自宅に帰宅した後、くも膜下出血を発症し、同年3月10日死亡した。
 Kの両親である控訴人(第1審原告)らは、Kの死亡は過重業務によるものであるとして、控訴人(第1審被告)に対し、1億4000万円の損害賠償を請求したが、第1審ではKの業務と死亡との間には相当因果関係が認められないとして請求を棄却されたことから、控訴人はこれを不服として控訴した。
主文
1 控訴人らの控訴を棄却する。
2 訴訟費用は控訴人らの負担とする。
判決要旨
当裁判所も、Kの9階東病棟における業務とKのくも膜下出血の発症との間には相当因果関係を認めることができないと判断する。
 なお、控訴人らは、9階東病棟におけるKの交替制勤務の実情が、日本産業衛生学会基準やILOの「夜業に関する勧告(第178号)」等の基準に反していると主張し、この観点からKの質的過重性を強調するが、こうした基準の視点は、それ自体としては尊重すべき側面があることは否定できないが、その点を考慮しても、本件事実関係の下にあっては、Kの業務と本件発症との間に相当因果関係を認めることはできない。
適用法規・条文
収録文献(出典)
労働判例958号93頁
その他特記事項
本件は上告されたが不受理とされた。