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D社ボイラーマン雇止事件

事件の分類
雇止め
事件名
D社ボイラーマン雇止事件
事件番号
東京地裁 − 平成5年(ワ)第10610号
当事者
原告 個人2名 A、B
被告 株式会社
業種
建設業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1994年08月08日
判決決定区分
棄却
事件の概要
 原告(大正11年生)は昭和59年12月、ボイラーマンとして、建築工事等を請け負う被告に1年間の期間を定めて雇用され、期間の更新により継続雇用されて平成4年3月、70歳の定年年齢到達により退職することとなったが、被告との合意により1年間、更に1ヶ月間雇用期間が延長されることとなった。しかし被告は、これ以上の更新はしないとして、平成5年4月末日をもって原告を退職したものとして扱ったことから、原告は、健康で事故等のない限り年齢には関係なく雇用を継続する合意がなされていたこと、本件取扱いは原告が外国人であることを理由とする差別で、労基法3条に違反して無効であることを主張し、雇用関係の存在確認と賃金の支払いを請求した。
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
判決要旨
 原告は、平成4年3月13日、満70歳となったので、就業規則の定めにより雇用期間満了により退職となるはずであったが、被告は原告との合意により特に向後1年間限りその期間を延長した。更に被告は、右1年後の平成5年3月12日、同年4月30日までその満了期間を猶予した。右事実によると、原告と被告との間の雇用契約は、平成5年4月30日の経過をもって期間満了により終了したものというべきであるから、原告の請求は排斥を免れない。
 原告は解雇された旨を主張しているが、これを認めるに足りる証拠はない。また原告は、新規採用の時点で既に60歳を超えていたから、原告には就業規則に定める再雇用の規定の適用はない旨を主張しているが、そのように解すべき根拠は見当たらないばかりか、かえって、原告と被告間の雇用契約では、明示された雇用条件のほかは法令及び就業規則の定めるところによるものとされたのであるから、原告の主張は理由がない。
適用法規・条文
労働基準法3条
収録文献(出典)
労働判例668号45頁
その他特記事項