判例データベース
F社英語教師雇止事件
- 事件の分類
- 雇止め
- 事件名
- F社英語教師雇止事件
- 事件番号
- 大阪地裁 − 平成6年(ヨ)第1819号
- 当事者
- その他債権者 個人1名
その他債務者 株式会社 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1994年08月23日
- 判決決定区分
- 却下
- 事件の概要
- 債権者はオーストラリア国籍を有する者であり、英語教育の学校を経営する債務者に雇用され、平成元年4月に来日した。債権者と債務者との雇用契約は、平成元年4月1日から1年間と定められ、その後平成5年まで毎年3月末に更新されてきたところ、学生数の減少等により経営が圧迫されたことから、債務者は平成5年12月16日、債権者に対し、平成6年度の英語教師に指名しない旨通知し、更に平成6年3月28日に契約しない旨通知して平成6年度の契約を締結しなかった。
債権者は、本件雇用契約は当初から実質上期間の定めのない雇用契約であり、仮にそうでないとしても何度も更新されることにより期間の定めのない雇用契約に転化したものというべきであって、債務者の更新拒絶の意思表示は解雇として取り扱われるべきであるところ、整理解雇の対象として債権者を選定するのは合理性がないことから本件解雇は無効であるとして、地位保全と賃金の支払いを求めて仮処分の申立てを行った。 - 主文
- 1 本件申立を却下する。
2 申立費用は債権者の負担とする。 - 判決要旨
- 債権者は、本件雇用契約は最初から雇用期間の定めのないものであったと主張するが、債権者が雇用の当初から雇用期間を1年とする雇用契約書に署名して来日している事実に照らせば、債権者の右主張は、一応認めるに足りない。
また債権者は、債務者がなした更新拒絶については、解雇に関する法理を適用すべきである旨主張する。確かに本件雇用契約は過去4回にわたり更新され、債権者の勤続年数は5年に至っているが、雇用契約更新に当たっては、必ずしも機械的、形式的に雇用契約書の作成が繰り返されていたというわけではなく、賃金の額、家賃の負担などの労働条件が(最後の更新にかかるものを除き)その都度改定されており、また新契約が締結されないときには、帰国の旅費を債務者が負担するとの約定もなされていた。かつ債権者の在留資格自体が1年の期間を限り、これが更新されているものであったし、債務者の経営するF大学日本校においては、次第に学生数が減少していくことにより、長期にわたる雇用継続を期待するのも次第に困難となっていく事情もあった。
以上によれれば、本件において、期間満了後の雇用の継続を期待することに合理性が存在したものとは未だ言い難く、雇用期間の定めのある雇用契約が雇用期間の定めのない雇用契約に転化したものとは認め難い。よって本件雇用契約は、平成6年3月末日の経過をもって雇用期間満了により終了したものというべきである。 - 適用法規・条文
- 収録文献(出典)
- 労働判例668号42頁
- その他特記事項
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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