判例データベース
Sグループ知的障害者暴行事件
- 事件の分類
- その他
- 事件名
- Sグループ知的障害者暴行事件
- 事件番号
- 大津地裁 - 平成9年(ワ)第453号
- 当事者
- 原告 個人18名
被告 個人1名 滋賀県、国 - 業種
- 製造業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 2003年03月24日
- 判決決定区分
- 一部認容・一部棄却(控訴)
- 事件の概要
- 主文
- 判決要旨
- 被告Aにつき、(1)原告ら16名は、少なくとも平成4年頃からは、被告Aから暴力行為等を受けることは頻繁になっていたもので、これによりその人格権を著しく侵害された、(2)同原告らは、被告Aによって劣悪な環境と作業状況の中で、適正な賃金を支払われることなく、十分な休暇も与えられないまま長時間の労働を強いられ、また寮での生活環境も劣悪なものであり、こうした状況から脱することができない原告らは、著しくその人格権を侵害された、(3)被告Aは、死亡したTに対する投薬の中止、暴行等及びその後の不適切な対応によりTを死亡するに至らせたもので、不法行為と死亡との間には相当因果関係が認められるから、被告Aは死亡によりTに生じた損害、逸失利益1061万円余、慰謝料2500万円を賠償する義務がある。(4)被告Aは、原告ら12名の受給すべき障害基礎年金を同原告らに無断で引き出して使用し、またこれを担保に貸付を受け、支給日に支給される同年金をその返済に充てていたもので、同原告らは、その引出額及び返済充当額相当(276万余円~763万円余)の損害を被ったから、被告Aはその損害額を賠償すべき義務がある。
被告滋賀県については、知的障害者更正施設県立しゃくなげ園にはTが同園を退園してSグループに就職した後に、その薬の服用状況や就労状況、生活状況を確認することを怠った違法行為があり、これとTの死亡との間には因果関係が肯定されるから、Tの死亡について被告他二者と連帯して賠償する義務がある。
被告国については、(1)八日市労基署には、Sグループにおける賃金支払状況等について調査や確認を怠った違法行為があり、これにより被った原告ら16名の損害(慰謝料)を被告Aと連帯して賠償する義務がある、(2)八日市職安にはTがSグループに就職した後に何らの指導も行わなかった違法行為があり、これとTの死亡との間には因果関係が肯定されるから、Tの死亡について被告他二者と連帯して損害を賠償する義務がある(被告三者に対して支払を命じた損害総額は2億7000万円)。 - 適用法規・条文
- 02:民法709条、06:商法266条ノ3第1項、04:国家賠償法1条
- 収録文献(出典)
- 労働判例846号98頁
- その他特記事項
- 本件は控訴された。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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