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N市水道局採用内定取消上告事件

事件の分類
採用内定取消
事件名
N市水道局採用内定取消上告事件
事件番号
最高裁 - 昭和55年(オ)第827号
当事者
上告人 個人1名
被上告人 名古屋市
業種
公務
判決・決定
判決
判決決定年月日
1981年06月04日
判決決定区分
上告棄却
事件の概要
上告人(第1審原告・第2審控訴人)は、昭和51年2月、被上告人(第1審被告・第2審被控訴人)水道局職員採用試験(本件採用試験)を受験したところ、同年3月18日、合格通知を受けた。

被上告人水道局では、上告人に対し同年4月1日からの勤務が可能かを問い合わせたところ、上告人は可能である旨の意思を伝え、同月26日、人事係に出頭して、指示された必要書類を提出したところ、同年4月1日に出頭するよう指示された。

一方、同年2月開催の被上告人市議会に水道局職員の増員を含む市職員定数条例案が上程されたが、同案は修正されて増員数が削られ、そのため被上告人水道局では、3名のみに対しては予定通り4月1日に辞令を交付したが、原告は採用試験合格の有効期間中に採用されるに至らなかった。上告人は、被上告人との間で既に労働契約が成立していると主張し、職員としての地位の確認と賃金の支払いを求めるとともに、その精神的苦痛に対する慰謝料100万円を請求した。

第1審では、辞令交付がなされていない以上任用行為は行われていないとして、上告人の請求を棄却したことから、上告人はこれを不服として控訴に及んだが、第2審でも同様に棄却されたことから、上告人はこれを不服として上告に及んだ。
主文
本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。
判決要旨
原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
適用法規・条文
民法709条
収録文献(出典)
労働判例367号57頁
その他特記事項
本件は上告された。