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N社地位保全等仮処分申請事件

事件の分類
解雇
事件名
N社地位保全等仮処分申請事件
事件番号
東京地裁 − 八王子支部昭和46年(ヨ)第543号
当事者
債権者 個人2名
債務者 N株式会社
業種
製造業
判決・決定
決定
判決決定年月日
1972年10月18日
判決決定区分
申請認容(債権者勝訴)
事件の概要
債権者らは、債務者N株式会社の女子従業員である。債務者は人員削減のため債権者らを指名解雇した。整理基準として(イ)「規模縮少による剰員で他に配置する職場のない者」、(ロ)「有夫の女子および11月1日現在27歳以上の女子」を示した。
これに対し、債権者らが債務者に対し従業員としての地位保全を求めて仮処分を申請した。
主文
債権者両名がいずれも債務者の従業員である地位を有することを仮に定める。
債務者は、債権者Aに対し、金13,412円および昭和46年12月1日以降本案判決確定に至るまで毎月25日限り金48,274円を、債権者Bに対し、金12,978円および右同年12月1日以降本案判決確定に至るまで毎月25日限り金46,705円をそれぞれ仮に支払え。
訴訟費用は債務者の負担とする。
判決要旨
「有夫の女子」「27歳以上の女子」という一般的な整理基準を設けることは、結婚している女子の差別待遇または性別による差別待遇に該当するといえるから、いずれも憲法第14条、労働基準法第3条、第4条の精神に違反し、かかる差別に基づく指名解雇の意思表示は私法上無効であると解すべきである。本件指名解雇が、相互に密接不可分の関係にあると認められる(イ)「規模縮少による剰員で他に配置する職場のない者」、(ロ)「有夫の女子および11月1日現在27歳以上の女子」の二つの整理基準に基づいてなされ、これを前提とする限り、右の如く整理基準(ロ)が本来違法にして無効なものである以上、債務者の債権者両名に対する本件指名解雇の意思表示は、結局、全体として違法であり無効のものであることに帰する。
適用法規・条文
02:民法90条
収録文献(出典)
労働経済判例速報808号18頁、
労働法律旬報821号9頁、
労働判例166号46頁
その他特記事項
なし。