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K社地位保全仮処分申請事件
- 事件の分類
- 解雇
- 事件名
- K社地位保全仮処分申請事件
- 事件番号
- 東京地裁 − 昭和50年(ヨ)第2238号
- 当事者
- 申請人 個人2名
被申請人 株式会社K - 業種
- 製造業
- 判決・決定
- 決定
- 判決決定年月日
- 1975年09月12日
- 判決決定区分
- 申請認容(申請人勝訴)
- 事件の概要
- 被申請人株式会社Kの就業規則には「事業上の都合によりやむを得ない事由のあるとき」が解雇事由の1つとして定められており、また同社と労働組合の間には、労働協約で「その他会社組合双方が決定したもの」が解雇事由の1つに定められていた。そして、人員整理について昭和50年1月成立した労使協定には人員整理基準の1つとして、「既婚女子社員で子供が2人以上いる者については解雇する。その場合でも極力本人と話し合い円満退職の方向につとめる。」との定めが設けられていた。
昭和50年2月、同社はこの解雇事由にあたるとして申請人2名を解雇したため、両名は本件人員整理基準は、憲法14条、労働基準法3条、民法90条に各違反する無効なものであると主張して地位保全仮処分を申請した。 - 主文
- 1 申請人両名が被申請人に対して労働契約上の権利を有することを仮に定める。
2被申請人は、申請人Aに対し、昭和50年2月12日以降金80,200円を、申請人Bに対し、昭和50年3月18日以降金88,850円を、いずれも本案判決確定に至るまで毎月27日限り仮に支払え。
3 訴訟費用は被申請人の負担とする。 - 判決要旨
- 単に既婚女子社員で子供が2人以上いる者を解雇するという一般的な人員整理基準は、既婚女子で子供が2人以上いる者に対する差別待遇にほかならず、しかも一般的に右のような差別や制限をする合理的な根拠を発見することもできず、結局憲法14条、労基法3条、4条の精神に違反するものであるから、民法90条により無効である。このことは本件人員整理基準が、労働協約として成立していても同様である。
従って、無効な人員整理基準に基づく本件解雇は無効である。 - 適用法規・条文
- 02:民法90条
- 収録文献(出典)
- 判例時報789号17頁、
労働判例233号18頁、
労働経済判例速報893号13頁、
労働法律旬報892号73頁 - その他特記事項
- 会社側控訴後、昭和53年1月28日和解。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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