判例データベース
H社雇用契約上の地位確認等請求上告事件
- 事件の分類
- 雇止め
- 事件名
- H社雇用契約上の地位確認等請求上告事件
- 事件番号
- 最高裁 − 昭和62年(オ)第871号
- 当事者
- 上告人 株式会社H
被上告人 個人2名 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1987年10月16日
- 判決決定区分
- 上告棄却(上告人敗訴)
- 事件の概要
- 被上告人Aは、昭和46年、被上告人Bは昭和49年に、上告人株式会社Hにパートとして雇用された。その際、雇用契約書を交わしたり、期間を定めたりはしていなかったが、その後昭和55年ころから、パート従業員の雇用期間を1年と明記する労働契約を締結するようになり、Aは2回更新し、Bは1回更新した。昭和58年4月、A、Bに対して、同年5月に期間満了し契約更新はしない旨の通告がなされた。これに対し、Aらは地位保全の仮処分を申請し、静岡地裁は認容した(昭和58年8月16日)。その後、両者間に和解が成立したため、右仮処分は事情変更を理由として取消す判決が下された(昭和59年11月20日)。
しかし、就労再開後、A、Bは従前の衣装、包装の仕事でなく、草取りや門の開閉、ガラス拭き等の雑務に就労させられ、屈辱感を味わわされ、またその結果、腕や背中を痛め、通院加療し労災給付を受け、昭和59年7月初旬から欠勤を余儀なくされた。被上告人Aは昭和60年8月から、被上告人Bは昭和59年8月から就労が可能となり原職復帰を求めたが、上告人はこれを認めなかった。
そこで、Aらは雇用契約上の地位の確認及び賃金の支払い、不法行為による慰謝料の支払いを上告人に求め、提訴した。
一審はAらの請求が一部認容され、これに対し会社側は控訴したが、控訴は棄却された。
これに対し、会社側が上告したのが本件である。 - 主文
- 本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。 - 判決要旨
- 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
- 適用法規・条文
- 99:なし
- 収録文献(出典)
- 労働判例506号18頁、労働経済判例速報1311号13頁、労働法律旬報1203号76頁、新谷真人・季刊労働法147号196頁、山本吉人148号98頁
- その他特記事項
- 地裁判決(No.68)控訴(No.69)参照。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
---|---|---|
静岡地裁 − 昭和60年(ワ)第564号 | 請求一部認容(原告一部勝訴) | 1986年07月04日 |
東京高裁 − 昭和61年(ネ)第2116号 | 控訴棄却(控訴人敗訴) | 1987年03月25日 |
最高裁 − 昭和62年(オ)第871号 | 上告棄却(上告人敗訴) | 1987年10月16日 |