判例データベース
M社地位確認等請求控訴事件
- 事件の分類
- 雇止め
- 事件名
- M社地位確認等請求控訴事件
- 事件番号
- 東京高裁 − 平成9年(ネ)第5088号
- 当事者
- 控訴人 M株式会社
その他 個人2名 - 業種
- 製造業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1999年03月31日
- 判決決定区分
- 控訴棄却、附帯控訴認容(被控訴人勝訴)
- 事件の概要
- 被控訴人(附帯控訴人)らは、自動車用部品を製造販売している控訴人(附帯被控訴人)会社に女子臨時社員として、2ヶ月ごとに雇用契約の更新を繰り返して雇用されてきた。被控訴人(附帯控訴人)Aの契約更新は、昭和52年9月から112回に及び、被控訴人(附帯控訴人)Bのそれは昭和55年8月から94回に及んだ。
控訴人は、控訴人工場における生産ライン1本の機械自動化、主力製品の受注減が見込まれることにより、組立作業員に余剰人員が見込まれることを理由として、原告らを含む年齢60歳以上の7名の女子臨時社員及び67歳の男子嘱託社員1名につき、雇用期間の満了する平成8年5月31日をもって、雇用契約を終了させる、とした(同年4月9日)。(以下「本件雇止め」という。)
これに対し、被控訴人らは、被控訴人らの契約更新は被告側に預けた印鑑によって形式的に繰り返され、本件雇止めは、期間の定めのない雇用契約における解雇と同様に濫用の有無が検討されるべきところ、整理解雇の法理から、権利濫用にあたり、また、これまで60歳雇止めの慣行、就業規則の定年の定め、はなく、原告らは60歳を超えても働けると期待していた、と主張し、労働契約上の地位確認と賃金、賞与、遅延損害金の支払を求め、会社を提訴した。
長野地裁上田支部は、請求を全部認容し、労働者側が勝訴した。これに対し、会社側が、原判決の取消し等を求め、控訴し、労働者側は夏季賞与と年末一時金(平成8年)の支払いを求めて附帯控訴した。 - 主文
- 一 本件控訴を棄却する。
二 附帯控訴に基づき原判決主文に次のとおり加える。
控訴人(附帯被控訴人)は被控訴人(附帯控訴人)らに対し、それぞれ金49万6000円及び内金24万9000円に対する平成9年8月9日から、うち金24万7000円に対する同年12月26日から各支払済まで年5分の割合による金員を支払え。
三 訴訟費用(附帯控訴の分を含む。)は、第1、2審とも控訴人(附帯被控訴人)の負担とする。
四 右第2項は仮に執行することができる。 - 判決要旨
- 控訴人会社の平成10年3月期における配当金は1割の外に特別配当金が2分あり、次期繰越利益金は3億円以上であったことが認められることに照らすと、本件雇止めに関する経営上の必要性の程度についての前記判断は動かない。平成9年当時の控訴人会社の経営状況に加え、右主張に係る各雇止めについては希望退職者の募集や労使間の事前交渉が行われたことが窺えないことに照らすと、右各雇止めも本件雇止めと同様の理由により権利の濫用に当たるといわざるをえない。
- 適用法規・条文
- 02:民法1条2項
- 収録文献(出典)
- 労働判例758号7頁
- その他特記事項
- 本件は、控訴審で確定した。(No.135原審)。なお、同じ会社による別事件(No.13)もある。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
---|---|---|
長野地裁上田支部 − 平成8年(ワ)第70号 | 請求認容(原告勝訴) | 1997年10月29日 |
東京高裁 − 平成9年(ネ)第5088号 | 控訴棄却、附帯控訴認容(被控訴人勝訴) | 1999年03月31日 |