判例データベース
E派遣会社損害賠償請求事件
- 事件の分類
- その他
- 事件名
- E派遣会社損害賠償請求事件
- 事件番号
- 東京地裁 − 平成9年(ワ)第5520号
- 当事者
- 原告 個人1名
被告 株式会社 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1997年11月11日
- 判決決定区分
- 棄却(控訴)
- 事件の概要
- 被告は労働者派遣を業とする会社であり、原告との間で平成8年6月3日から11月末日までの間A社に派遣し、校閲業務に従事させることを内容とする労働契約を締結した。
原告は、本件労働契約に基づき、A社で派遣労働者として勤務していたところ、派遣開始後1ヶ月足らずで、A社から原告の勤務態度ににつき苦情があり、別の者に交代するよう申し入れがなされた。そこで被告は、同年7月中旬、原告に対し派遣社員を辞めて就職するよう勧め、B社に紹介した。ところが同月30日、A社から原告を派遣しないで欲しいとの強い要望があったため、被告は就職先の決定を待たずに同月31日付けで原告に対しA社への派遣を打ち切る旨通告した。その後原告と被告との交渉の結果、同年8月の1ヶ月分に限り100%の賃金相当額を保障し、同年9月1日から11月30日までの間については賃金の保障はしないが、新たに就職先を紹介することで合意をした。
本件合意に基づき、被告が原告に対しC社の面接を受けるよう手配し、原告はC社から採用したい旨告げられたが、100%気に入った会社でなければならないとして就職を断った。そこで原告は、被告が本件合意により定められた3ヶ月間の新たな就職先を原告に紹介する債務を履行しなかったとして、精神的苦痛に対する慰謝料70万円を含む136万3000円の損害賠償を請求した。 - 主文
- 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 - 判決要旨
- 被告は、本件合意において、原告に対し、本件労働契約の残余の期間である平成8年9月1日から同年11月30日までの間における原告の生活を保障する趣旨で新たに就職先を紹介することを約したものであり、被告は右義務の履行として、少なくとも右期間に対応する期間は原告が就労することができる労働契約であり、本件労働契約における賃金その他の労働条件と同程度ないしそれ以上の労働条件を内容とする労働契約を締結することができる相当な見込みのある新たな就職先を紹介することを要し、かつそれをもって足りるものと解するのが相当である。
被告は、原告に対しC社を紹介し、採用面接を受けることができるように段取りをしたことによって、少なくとも本件労働契約の残余期間である同年9月1日から11月30日までの間に原告が就労して賃金の支払を受けることができる就職先を紹介したものであり、これを受けて行われたC社の採用面接において、責任者が原告に対し採用したいと告げ、すぐにでも勤務して欲しいと述べたのであるから、原告がC社に対し就職を申し込めば、同社との間で、本件労働契約における賃金その他の労働条件と同程度ないしそれ以上の労働条件を内容とする労働契約を締結することができたことが明らかであるというべきであり、被告は原告に対し、本件合意に基づく新たな就職先を紹介する債務を履行したものということができる。 - 適用法規・条文
- なし
- 収録文献(出典)
- 労働判例729号49頁
- その他特記事項
- 本件は控訴された。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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