判例データベース
大阪市交通局協力会男女別定年事件
- 事件の分類
- 退職・定年制(男女間格差)
- 事件名
- 大阪市交通局協力会男女別定年事件
- 事件番号
- 大阪地裁 − 平成6年(ヨ)第3382号
- 当事者
- その他債権者 個人1名
その他債務者 財団法人大阪市交通局協力会 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 決定
- 判決決定年月日
- 1995年02月08日
- 判決決定区分
- 一部認容・一部却下
- 事件の概要
- 債務者は、大阪市交通局の外郭団体で、定期券の販売等の事業を行う財団法人であり、債権者は昭和9年9月2日生まれで、昭和42年9月30日大阪市交通局を定年退職し、同年10月に債務者の第1種職員となった者である。
債務者の就業規則には、第1種職員とは大阪市交通局の定年退職者及び永年勤続者であって会に採用された者、第2種職員とはそれ以外の者出会って会に採用されたものと定義され、定年は第1種職員が65歳、第2種職員が60歳と定められていた。
債務者は、昭和61年に第1種職員の女子については第2種職員に呼称を変更したとして、平成6年10月、債権者に対し、債権者が満60歳に達した日の属する月の翌月の末日である平成6年10月末日で定年解雇する旨通告した。
これに対し債権者は、就業規則の文言と明らかに異なる不利益な取扱いを行うことは不当であるとして、地位の保全と賃金の支払いを請求した。 - 主文
- 1 債権者が、債務者の従業員の地位にあることを仮に定める。
2 債務者は、債権者に対し、平成7年2月1日から本案訴訟の第1審判決の言渡しに至るまで、毎月末日限り1ヶ月金20万円の割合による金員を仮に支払え。
3 債権者のその余の申立てを却下する。
4 申立費用は債務者の負担とする。 - 判決要旨
- 債務者において第1種職員とは、昇給額、定年退職年齢等の労働条件が異なり、定年退職年齢は、昭和61年4月1日以降は第1種職員の方が第2種職員より10歳(昭和63年12月22日以降は5歳)高齢に定められているので、第1種職員を第2種職員と呼称変更する取扱いは、就業規則の定めと異なった不利益な扱いであって、許されないというべきである。
債務者は、昭和61年6月、呼称変更につき労働組合の合意を得たと主張するが、これは労働協約でもなく、これをもって就業規則と異なる不利益な扱いを合理化することはできない。また、昇給通知書自体には呼称変更の記載はなく、債権者は、昭和61年12月頃、協力会発行の機関誌により呼称変更を知り、労働組合委員長に抗議しているものであって、呼称変更及びこれにより定年年齢についての不利益な扱いを受けることに同意したということはできない。なお債務者は、本件呼称変更の扱いを受けた60歳以上の女子職員2名は何の異議苦情も述べずに退職しているので、改定後の就業規則は、大阪市交通局を若年定年で退職してきた女子職員については第2種職員として取り扱うと解釈されるべきであると主張するが、就業規則の解釈に際してはその文言のみによらず諸要素を考慮すべきであるとしても、就業規則の定め自体を変更せずに、これと異なる不利益な取扱いを就業規則の解釈として適用することは制限されるべきであって、本件においても、定年退職年齢については就業規則の文言と明らかに異なる不利益な扱いとなる呼称変更を、債務者主張事実をもって就業規則の解釈として適用し、もしくは合理化することは、到底許されないというべきである。 - 適用法規・条文
- なし
- 収録文献(出典)
- 労働判例676号81頁
- その他特記事項
- 本件は本訴に移行した。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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大阪地裁 − 平成6年(ヨ)第3382号 | 一部認容・一部却下 | 1995年02月08日 |