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労働者派遣会社損害賠償事件

事件の分類
その他
事件名
労働者派遣会社損害賠償事件
事件番号
東京地裁 - 平成13年(ワ)第27849号
当事者
原告 個人1名
被告 株式会社
業種
サービス業
判決・決定
判決
判決決定年月日
2002年05月14日
判決決定区分
一部認容・一部棄却
事件の概要
 被告は、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業を行う株式会社であり、原告は被告に登録する派遣労働者である。
 被告は原告との間で、派遣期間を平成13年1月6日から14日まで、職務内容をOAクラーク業務、時間給1500円で労働者派遣契約を締結して雇用した。被告から派遣先へは2名が派遣されて就労する予定であったが、派遣初日に派遣先の指示で1名が派遣中止になり、原告だけが派遣された。被告は原告に対し、9日の予定の休日を10日に振り替えること、13日と14日は就労しないよう通知し、2日分の休業補償の名目で、時給の60%に当たる1万2348円を原告に支払った。これに対し、原告は全額払うべきであるとして差額の支払を請求するとともに、(1)2名体制の受付を急に1名で行うことになり、トイレ休憩も自由にはできなかった、(2)原告の休日は被告が正月休みで連絡が取れず、急遽休日を振り替えた、(3)休日明け連絡が取れたとたん、残りの2日間を休むように被告に命じられショックを受けた、(4)2名体制を1名体制で強いられたことに関し補償を求めたが、全額補償されず、初日で退職に至ったスタッフの状況を散々問われ、情報提供させられた、(5)補償には当たらないと再三断られ、補償の入金さえ遅延した、(6)補償の名目が休業補償とされ、原告の病気を理由にされた、(7)被告は業務上のトラブル相談場所を設け、スタッフに配布していながら、本件について正当な解決に至らないことから、上記行為は原告登録時点からの詐欺に当たる、などとして、原告に対する侮辱による不法行為、債務不履行などを理由に、慰謝料628万円及び同居の家族の損害生活費(4ヶ月分)12万円を請求した。
主文
1 被告は、原告に対し、8232円を支払え。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は原告の負担とする。
判決要旨
 本件派遣において派遣人員の減少や就労予定の変更があり、原告において様々な迷惑を被ったことは窺えるが、被告の行為が不法行為を構成するだけの違法性を有するとまで認めるに足りる証拠はない。また、原告主張の損害賠償請求権を基礎付けるような債務の存在、損害の発生及び債務不履行との間の因果関係を認めるに足りる証拠はない。
 以上のとおりであるから、原告の請求は、休業を命じられた2日分賃金残額8232円の支払いを求める限度で理由があるから認容し、その余は失当としていずれも棄却する。
適用法規・条文
なし
収録文献(出典)
労働経済判例速報1825号48頁
その他特記事項