判例データベース
S大学教授雇止事件
- 事件の分類
- 解雇
- 事件名
- S大学教授雇止事件
- 事件番号
- 静岡地裁浜松支部 − 平成8年(ワ)第170号
- 当事者
- 原告 個人1名
被告 学校法人S大学 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1997年04月16日
- 判決決定区分
- 棄却
- 事件の概要
- 被告は、S大学を設置する学校法人であり、原告は平成5年4月被告に雇用されて被告大学に勤務し、教授として英会話を担当していたアメリカ人女性である。
被告は、平成7年6月27日付け通知書をもって、原告に対し平成8年4月以降は雇用しない雇止めの通知を行った。これに対し原告は、被告の定年である68歳まで雇用するとの約束であり本件雇止めは無効であるとして、被告の雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と、賞与も含めた賃金相当額及び弁護士費用500万円を請求した。 - 主文
- 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 - 判決要旨
- 原告は、68歳定年まで勤務を保障される終身雇用であるとの約束で被告に勤務したと主張するが、理事や教授らはことごとく原告が主張する終身雇用の約束を否定しており、それらを殊更に虚偽を述べたものとして排斥しなければならないほどの事情を窺うこともできない。加えて原告の認識・理解は、全体としていかにも漠として具体性に欠ける観のあることを否めない。仮に原告が、真実、終身雇用の約束があったからこそ被告との雇用契約に応じたというのであれば、更新についての定めもない、その約束が果たされるかどうか全く不明の内容の契約書の作成に応じるというのは、奇異なことといわなければならない。このように考えると、原告を被告の定年である68歳まで雇用する旨の約束をしたとの事実をそのまま採用するには躊躇を覚えざるを得ないとともに、仮にそれに近いような事実経過があったとしても、それをもって各契約書における雇用期間の定めを打ち破るに足るほどの「特段の事情」とまで認めるのは無理といわなければならない。そうすると、被告と原告との雇用関係は、契約で定められた雇用期間の終期である平成8年3月31日の経過をもって終了していることになる。
- 適用法規・条文
- なし
- 収録文献(出典)
- 労働経済判例速報1635号20頁
- その他特記事項
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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