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F郵便局臨時雇雇止控訴事件

事件の分類
解雇
事件名
F郵便局臨時雇雇止控訴事件
事件番号
名古屋高裁 − 昭和51年(ネ)第49号
当事者
控訴人 個人1名
被控訴人 国
業種
公務
判決・決定
判決
判決決定年月日
1979年03月16日
判決決定区分
棄却
事件の概要
 控訴人は、昭和46年11月5日、福井郵便局に任期を1日とする臨時雇として採用され、昭和47年7月1日をもって予定雇用期間の満了を通告された。
 控訴人は、控訴人・被控訴人間の契約は、実質的には期間の定めのない雇用契約であり、期間満了通告は解雇に当たるところ、本件解雇は正当性がないから無効であるとして、地位保全及び賃金支払の仮処分を申請した。これに対し仮処分決定においては、控訴人(原審申請人)の申請を認容したことから、被控訴人(原審被申請人)が異議を申立て、その異議が認められた。そこで控訴人がこれを不服として控訴したものである。
主文
本件控訴を棄却する。
訴訟費用は控訴人の負担とする。
判決要旨
 公務員の勤務関係は、現業国家公務員のそれをも含めて、公法上の権利義務の関係であって私法上の契約関係ではないと解され、殊にその開始及び終了は任免に関する事項として法規による厳格な規制を受けるものであるから、非常勤職員である臨時雇への任用を私法上の雇用契約の締結とみることはできない。従って、任用すなわち雇用であるとの前提のもとに雇用関係の存続をいう控訴人の主張は理由がない。

 控訴人は、福井局の任免手続きは杜撰かつ形骸化していたから、そこに私法上の雇用関係が成立していたと主張するが、控訴人については、昭和46年11月6日を最初として数回にわたり控訴人を臨時雇として任命する旨、又はこれを免じる旨の辞令が記載されているから、昭和46年11月6日から昭和47年7月1日までの間断続的に臨時雇として勤務したものとみることができる。したがって、右辞令の作成が全くの形式に過ぎない旨の控訴人の主張は採用できないし、辞令の記載に多少の不備があったとしても任用行為が存在しないとも解せないから、控訴人の私法上の雇用関係成立の主張も理由がない。
 控訴人は、現業国家公務員である控訴人には労働基準法20条、21条の適用があるから、任期満了による当然退職論はそのままの形では適用されないと主張するが、公務員の場合の日々雇入れはその更新が継続してもあくまで任期1日の任用が更新されるのであって、期間の定めのない任用に転化することはないと解されること、公務員の任用行為は一種の行政処分であると解されるところ任命権者の意思に反して任用の更新が擬制されると解するのは相当でないことに照らし、仮に控訴人の勤務関係が労働基準法21条但書1号に該当するとしても、同法20条適用の効果は解免予告手当の支給を求め得ることに止まり、雇止めの意思表示が右手当の支給を伴わなかったからといって任用更新の効果が生ずると解すべきではない。従って、控訴人の右主張は採用できない。
適用法規・条文
なし
収録文献(出典)
労働判例317号62頁
その他特記事項