判例データベース
セクハラ言動譴責・解雇事件
- 事件の分類
- セクシュアル・ハラスメント
- 事件名
- セクハラ言動譴責・解雇事件
- 事件番号
- 東京地裁 − 平成18年(ワ)第17861号
- 当事者
- 原告個人1名
被告M株式会社 - 業種
- 分類不能の産業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 2007年08月10日
- 判決決定区分
- 棄却
- 事件の概要
- 原告は、平成13年頃から同じ課に勤務する女性社員Mにセクハラ的な言動を行っていたが、徐々にその言動がエスカレートしていった。平成16年7月末に、被告会社はMから「ある社員からセクハラまがいのことを言われる」との申告を受けたことから、同社に設置していたセクハラ委員会を開き、Mから事情を聴取して、その結果を管理本部に報告した。同本部はM及び他の社員から事実確認を行ったところ、原告のこれまでの言動、特にMとの関係では同年1月以降、原告の性的言動が頻繁で、嫌悪の対象となっていることが確認された。次いで、同年9月17日、被告会社の常務と人事課長が原告から事情聴取をし、原告が女性社員らを非難する行為を行ったことから、同年10月1日付けで、職場において性的言動を行い、女性社員の労働条件に不利益を与え、当該女性社員の職場環境を害したこと、服務規律に違反し、会社が命じた始末書を提出しないことを理由に、原告を譴責処分とした。
これに対し原告は、和解の話合いの場も持たず、一方的な処分をされたと抗議し、労働局に懲戒処分撤回の申込みの助言・指導を依頼し、社長に対し携帯電話のメールや年賀状で懲戒処分の撤回と損害賠償を要求したり、年賀状でMに謝罪を要求したり、同僚女性社員にMを脅迫するような言辞を吐いて同僚女性の恐怖を与えたりし、平成17年1月20日、労働局にあっせんを申請し、被告会社に対し、セクハラを理由とする懲戒処分の撤回とこれにより被った精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めた。
被告会社は、原告の言動内容を確認した上で、原告が反省や改善の姿勢を見せることなく、むしろ、Mに対する心理的圧迫、謝罪の強要、復讐行為等社内秩序違反行為を繰り返していることから、原告が社員としての適格性を欠き、雇用に関する信頼関係が回復困難なまでに破壊されているとして、同年7月5日、原告を解雇した。これに対し原告は、解雇の無効確認と慰謝料の支払いを請求した。 - 主文
- 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 - 判決要旨
- 原告は、長期にわたり、Mやそれ以外の女性も対象としたセクハラに該当する性的言動が認められ、本件譴責処分には理由がある。また、原告は、被告会社の周到な調査に基づく譴責処分の撤回を求めて、反省の意を示すことなく自己の立場の正当性を主張し、被告会社への批判を繰り返したことを考慮すると、本件解雇は企業秩序維持のために必要な措置と認められ、正当である。
- 適用法規・条文
- 収録文献(出典)
- 平成20年版年間労働判例命令要旨集288頁
- その他特記事項
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
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