判例データベース
R社派遣社員解雇控訴事件
- 事件の分類
- 解雇
- 事件名
- R社派遣社員解雇控訴事件
- 事件番号
- 名古屋高裁 − 平成19年(ネ)第577号
- 当事者
- 控訴人 株式会社
被控訴人 個人1名 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 2007年11月16日
- 判決決定区分
- 控訴棄却(確定)
- 事件の概要
- 控訴人(第1審被告)は、特定の車両部品製造会社への労働者派遣を主たる業務とする会社であり、被控訴人(第1審原告)は平成16年9月20日頃、控訴人に期限の定めのない労働契約により雇用された者である。 被控訴人は、平成16年9月20日頃から平成17年8月31日までA社に派遣され、翌9月1日から同年11月30日までA社に雇用されて同一の業務に従事した。被控訴人以外の派遣社員らは、同年12月1日以降も控訴人と雇用契約を締結してA社での業務に従事したが、被控訴人については同日以降雇用は継続されなかった。 同年12月1日以降、控訴人は被控訴人との間の契約が終了したとして賃金を支払わなかったところ、被控訴人は控訴人との雇用契約は継続しているとして、従業員としての地位の確認と、同日以降の賃金の支払いを請求した。 第1審では、被控訴人とA社との雇用契約が成立したからといって、控訴人との雇用契約が合意解約されたとはいえず、控訴人による被控訴人の解雇は解雇権の濫用に当たるとして本件解雇を無効としたことから、控訴人はこれを不服として控訴した。
- 主文
- 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。 - 判決要旨
- 当裁判所も、被控訴人の請求は理由があるものと判断する。 本件において、被控訴人とA社との間で平成17年9月に雇用契約が締結された後も控訴人と被控訴人間で本件雇用契約が継続していたか否かが争点であることは明らかであって、A社が被控訴人を直接雇用するに至ったのは被控訴人の事情によるものではないこと、直接の雇用期間は3ヶ月間と短期間であるにもかかわらず、本件雇用契約が終了することは被控訴人にとって不利益が大きいことからすると、A社との直接雇用により本件雇用契約が解約されたと認めることはできない。そうすると、控訴人と被控訴人間の本件雇用契約が存続していると認定した上、A社との雇用契約が成立した実態を出向と評価した原判決に事実誤認はない。 A社以外での就労とは、具体的にはB社との就労ということであるが、控訴人が被控訴人に対してB社での就労場所や職務内容等を具体的に特定して就労を指示したことを認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はないから、控訴人の主張は採用することができない。
- 適用法規・条文
- 収録文献(出典)
- 労働判例978号87頁
- その他特記事項
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
---|---|---|
名古屋地裁 − 平成18年(ワ)第3833号 | 一部認容・一部却下・一部棄却(控訴) | 2007年06月06日 |
名古屋高裁 − 平成19年(ネ)第577号 | 控訴棄却(確定) | 2007年11月16日 |