判例データベース
O社解雇上告事件(パワハラ)
- 事件の分類
- 解雇
- 事件名
- O社解雇上告事件(パワハラ)
- 事件番号
- 最高裁 - 平成21年(オ)第1727号
- 当事者
- 上告人 株式会社
被上告人 個人1名 - 業種
- サービス業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 2010年05月25日
- 判決決定区分
- 原判決破棄(上告認容)
- 事件の概要
- 上告人(第1審被告・第2審控訴人)は建設機械器具の賃貸などを業とする会社であり、被上告人(第1審原告・第2審被控訴人)は、統括事業部長を兼務する取締役である。
被上告人は酒に酔った状態で出勤したり、勤務中居眠りしたり、取引先の担当者の前で呂律が回らなくなるほど酔ってしまったりすることがあったが、飲酒を止めたり、控えたりすることはなかった。平成19年6月4日、被上告人は取引先の担当者と打合せの予定があるのに出勤せず、常務から電話で出勤を指示されるなどしながら、結局終日欠勤した(本件欠勤)。同日社長は、被上告人から酒に酔った状態で電話で「自分を辞めさせたらどうか」と言われたこともあって、被上告人に退職届を提出するよう指示した。
同月6日の朝取締役会で被上告人の退職は承認されたことから、被上告人は社長から退職願の提出を求められたが、同月11日、社長に対し退職願は提出しないと回答するともに、解雇通知書の交付を求めたところ、社長はこれに応じて本件解雇通知をし、同月15日付けで解雇をした。上告人は、被上告人に対し、1ヶ月分の賃金全額、賞与の全額、退職金、餞別を支給したところ、被上告人は異議を留めないでこれらを受領した。
被上告人は、上告人の信用を落とすような振る舞いをしたことはなく、その他就業規則で定める解雇事由はないから、本件解雇は無効であるとして、本件解雇がなければ得ることができた逸失利益1790万9300円を請求した。
第1審及び第2審とも、被上告人の勤務態度には問題があるとしながら、社長らもそのことを十分に注意することなく行った本件解雇は、社会通念上相当として是認することはできないとして、解雇の無効と6ヶ月分の賃金相当額の支払いを命じたことから、上告人はこれを不服として上告に及んだ。 - 主文
- 原判決を破棄し、第1審判決中上告人敗訴部分を取り消す。
前項の部分につき、被上告人の請求を棄却する。
訴訟の総費用は被上告人の負担とする。 - 判決要旨
- 適用法規・条文
- 民法709条、民事訴訟法23条、労働審判法21条3項
- 収録文献(出典)
- 労働判例1018号5頁
- その他特記事項
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
---|---|---|
仙台地裁 - 平成19年(ワ)第2063号 | 一部認容・一部棄却(控訴) | 2008年12月24日 |
仙台高裁 - 平成21年(ネ)第54号 | 控訴棄却(上告) | 2009年07月30日 |
最高裁-平成21年(オ)第1727号 | 原判決破棄(上告認容) | 2010年05月25日 |