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N社再雇用拒否控訴事件(パワハラ)

事件の分類
雇止め
事件名
N社再雇用拒否控訴事件(パワハラ)
事件番号
札幌高裁 − 平成22年(ネ)第240号
当事者
控訴人 株式会社
被控訴人 個人1名
業種
卸売・小売業
判決・決定
判決
判決決定年月日
2010年09月30日
判決決定区分
控訴棄却
事件の概要
控訴人(第1審被告)は、農業用機械器具の販売及び輸出入等を業とする会社であり、被控訴人(第1審原告)は、平成2年9月1日に控訴人との間で雇用契約を締結し、通関関連業務等の業務を行っていた者である。控訴人には、対立路線を歩むB組合と、協調路線をとるC組合が存在し、B組合とC組合は別個に控訴人と労働協約を締結していた。

控訴人は、平成18年4月、新たに定年退職者の再雇用制度(本件再雇用制度)を設け、その内容を定めた本件規程8条では、再雇用時の賃金はその時の従業員の能力等を基に個々に決定する旨規定していた外、再雇用可否の判断基準を規定していた。なお、被控訴人らB組合に所属する従業員は、平成16年から21年にかけて、55歳以降の賃金の減額を定めた平成13、14年規則及び平成17年規則の効力を争う訴訟を提起し、いずれも請求が認容されていた。

平成20年4月10日、定年間近になった被控訴人は、控訴人に対し再雇用を希望する旨申し出たが、控訴人は同年7月1日付けの文書をもって、被控訴人を再雇用はできない旨通知した。

これに対し被控訴人は、本件再雇用拒否は、B組合を敵視していた控訴人の報復によるものであり、権利の濫用又は不当労働行為に無効であるとして、当然に再雇用契約が成立したことを主張し、定年退職時の賃金の60%に当たる月額23万5080円の賃金の支払いを請求した(第一次的請求)。また被控訴人は、仮に再雇用契約が成立していないとしても、本件再雇用拒否は債務不履行又は不法行為に該当するとして、逸失利益150万3552円、慰謝料50万円、弁護士費用130万円余を請求した(第二次的請求)。

第1審では、被控訴人の第一次的請求は斥けたものの、第二次的請求を認め、損害額として500万円、弁護士費用として50万円の支払を命じたことから、控訴人がこれを不服として控訴に及んだ。
主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
判決要旨
当裁判所も、被控訴人の第二次請求は、控訴人に対し、慰謝料500万円、弁護士費用50万円の限度で理由があると判断する。その理由は、原判決に記載の通りである。
適用法規・条文
労働契約法17条1項
収録文献(出典)
労働判例1013号160頁
その他特記事項